2021年実施業務のご報告
2022年1月
ISAオンライン研修実施
国際海底機構との探査契約の下、当初2020年内に予定されていた開発途上国の人々に向けた研修プログラムは、COVID-19の影響により残念ながら実地研修は行うことができず、2021年5月にオンラインによって実施しました。
初の試みのオンライン研修にはコロンビア、エクアドル、バングラデシュ、エジプト、インドネシアの5か国から5名の研修員が参加しました。
オンライン研修は、深海鉱物資源関連の専門家が作成した講義資料を研修員が指定されたインターネットサイトから閲覧し、各専門分野について学ぶ講座と、研修員と講師がオンライン会議上で講義内容に関する質疑応答・意見交換を行うインタラクティブセッションの2部構成にて実施しました。講義は、DORDが取り組むマンガン団塊の探査に関する基礎的な内容(地質、洋上調査、環境調査、製錬・経済性)に加え、海底鉱物資源探査に重要な物理探査、その他鉱床(海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト)に関する基礎知識、ISAについて等、コントラクターとして実際に携わっている業務内容を主とした構成で行いました。
これらの受講後、研修員による報告書作成・提出とDORDによる修了証書の発行・送付をもってオンライン研修は無事終了しました。
海洋調査実施
DORDは国際海底機構との探査契約の下に計画された、ハワイ南方のクラリオン・クリッパートン断裂帯周辺における契約鉱区およびAPEI-10での調査航海を2021年10月9日に開始し、10月24日に無事終了しました。
米国ハワイ大学のKilo Moana号に乗船し、環境調査を中心とした調査を、今回はマルチプルコアラー等の調査機器に加え、海底観測ビデオシステムである江戸っ子1号を用いて実施しました。
江戸っ子1号は、海洋環境調査における海底の画像映像記録方法を定めたISO 23731のAnnex Aにおいて、参考例として紹介されている機器であり、CCZ海域における水深5,000メートル以深での江戸っ子1号を用いた海底の底魚及び底生腐肉食者の観察の成功は今回が世界初となります。
また、海底付近から表層までの水中音の観測も行いました。今回の調査で得られたサンプルを今後解析し、海洋環境のさらなる解明を進めていきます。
江戸っ子1号投入の様子